皆さんは、口の中に銀紙を入れて何気なく噛んだり、なめたりした際、”ピリッ”とした刺激を感じたことはないでしょうか?何やら不思議な現象で何か怖い物見たさ、体験したさから銀紙を口の中に入れて試してみた方は少なくないと思います。
編集子も、どうして銀紙を口の中で噛むと”ピリッ”とした感覚があるのか不思議でならなかったことを今でも記憶しています。
実は、 銀合金と金合金といった種類の異なった金属製の詰め物や被せ歯同士が口の中の歯にセットしてある状態でそれらが接触すると、口の中にある唾液や骨、歯の内部にある組織液が電解質となり電池が形成され、電流が走ることがあるのです。これがピリッとくるものの正体で、専門的にはガルバニ電流と呼ばれています。このガルバニ電流が刺激となって歯の中の神経(専門的には歯髄と呼びます)が痛みとして感じるのです。銀紙を噛んでピリッとする感覚もまさしくこのガルバニ電流によるものなのです。
実際に、金属製の詰め物や被せ歯がセットしてある人はこのガルバニ電流が生じることがあります。歯医者はできるだけガルバニ電流が生じないよう、口の中にセットする金属はできるだけ同じ種類のものを使用するか、もしくは金属製でないプラスチック製やセラミック製などの材質の詰め物、被せ歯をセットするように心がけるよう努めています。
興味深いことに、同じ材質の詰め物でも古い詰め物や被せ歯と新しい詰め物や被せ歯同士で噛み合う場合、ピリッとするガルバニ電流が生じることがあります。材質の新しさ、古さによる電位の差による現象のようですが、新しい詰め物や被せ歯をセットして数日程度経てば電位差がなくなってくるのでガルバニ電流は流れなくなるようです。