みなさん、歯科技工士という職業をご存じですか。
歯科技工(入れ歯や、歯の詰め物やかぶせを作ること)の専門家のことです。
戦前の歯科医療は、歯を抜いて、あとに入れ歯を入れるのが主流でした。
また当時は、社会保険制度もありませんでしたので、歯科治療を受ける患者さんも今とは比べものにならないほど少なかったようです。
だから入れ歯もほとんど歯科医師自身が作っていました。
戦後、社会保険制度の充実により、歯科を訪れる患者さんが飛躍的に増加しました。
そのため、歯科技工を歯科技工師に委託することも多くなりました。そして昭和三十年、歯科技工士法といい法律が制定されて資格が定められ、(歯科技工師改め)歯科技工士が誕生しました。
戦後の高度成長とともに、歯科の医療技術が進歩するに従って歯科技工士の業務も高度化し、ますます専門化してきました。
歯科技工士の技術には、入れ歯などのプラスチックの加工技術、かぶせなどの金属加工の技術、また最近ではセラミックの加工技術などがありますが、毎年のように新しい材料技術が開発されています。
私たちデンタルチームは「もの」を患者さんに提供しているのではなく、「健康」を提供しています。
だから歯科技工士の作る技工物は、単なる「もの」ではなく、生体と調和した人工臓器なのです。
そのため歯科技工士は、解剖学や生理学などの医学、また金属学やセラミックなどの無機化学、レジンなどの有機化学にも精通しなければならず、大変知的な職業といえます。
当医院にも技工士が常勤しており、セレック等の被せものを作っています。