テイクケアオブユアお口
2024.05.17
こんにちは、さこだ歯科の衛生士です。
今年ももう5月です、来月の予約を取る時「もう6月ですね、半年ですよ!」と時間の流れの速さに患者さんと驚きながら、「毎年このやりとりしてるな」と思いながら、でもやっぱり一年あっという間だと思いながら過ごしています。
去年の話になりますが、2023年の8月に口腔衛生学会からある提言がありました。
これは私を震撼させるもので、世の中の一部もザワッとしていました。
その提言は
「乳幼児期における親との食器共有について」
というものです。
最近で世の中でかなり認知されている「虫歯菌は口移しとか唾液で感染るから、お箸やスプーンを同じものを使わないほうがいい」というもので、それが広まって20年くらい経つと思うんですが
最初は「お箸やスプーンは別にしましょう」くらいの認識が、
「ほっぺにチューなんてもってのほか!」「うちに遊びに来た義両親が自分の使ってる箸で食べさせてた!今までの苦労が水の泡!」
「おじいちゃんが子供のご飯をフーフーしてた、虫歯菌がご飯に飛ぶからやめて!」
など、どんどんエキサイトしていくのを慄きながら見ていました。
コロナ禍を経て、除菌の意識が高くなったせいもあるのかもしれません。
口腔衛生学会の提言は
・口腔細菌の感染は食器の共有の前から起こってますよ。
毎日のスキンシップでお母さんの細菌は子供に感染しています。
そんなに気にしなくていいのですよ。
・ミュータンス菌だけが虫歯菌ではないですよ。
皆さんがイメージされる虫歯菌といえはミュータンス菌ですが、ミュータンス菌の他にも虫歯の原因菌はいますよ。
それは食器の共有だけでは防げませんよ。
・食器の共有に気をつけても子供の虫歯に差はありません
虫歯は砂糖の摂取や歯磨きが原因にもなるので,食器の共有の有無で虫歯の差は見当たらなかったです。
といったものでした。
ミュータンス菌に関しては乳歯の生え始めから生え揃う頃に近親者の唾液から感染するとは知っていましたが、その認知が世間に広まっても日本の子供の虫歯が劇的に減るわけではなかったので、ほんとに箸やスプーンの共有をやめるだけで虫歯のリスクが減らせるのかなと疑問に思っていたので、私としは合点がいく提言でした。
虫歯はミュータンス菌ひとつの要素でできるわけではないので、あまり神経質にならずに子供とスキンシップをとって、食事をするのが良いのではないでしょうか。
あとこの提言に欠けていた視点としては、主たる感染源であるご両親の口腔内の細菌についての言及です。
ミュータンス菌にも性格が色々あり、虫歯を作る気まんまんの悪い菌もいれば、ミュータンス菌なのに虫歯を作る能力が弱いものもいます。
それにお手入れ不足の口腔内は細菌が繁殖するのに絶好の条件で、細菌はどんどん増えていきます。
それに細菌は古くなればなるほど悪質化するものもいます。
そう考えると、お父さんお母さんの口腔内の細菌の数を減らす、細菌の質を良くしておくという事がとても大事だと思います。
口腔内環境の良いご両親から感染すればお子さんにもリスクの低い口腔内細菌が感染します。
感染というと悪い細菌しか浮かびませんが、善玉の細菌もいるので全くなにも細菌を感染させないというのも問題です。
よく「自分は歯で苦労したので、この子は虫歯にしたくないんです!」とおっしゃる親御さんがいらっしゃいますが、そう思えばこそ、ご自分の口腔内のケアが大切になります。
歯周病菌などは家族間で感染します。
ご家族誘い合ってメンテナンスで歯医者さんに通われるのがおすすめです!
鹿児島市中央町 医療法人篤志会 さこだ歯科
歯科衛生士 藤井