歯を失う一番のリスクは「歯医者に行かないこと」だった?
2025.06.09
6月4日から10日までは「歯と口の健康週間」です。
今年の標語は「歯みがきで 丈夫な体の 基礎づくり」ということですが、まさにその通りで、お口の健康は、私たちが元気に生きていくための「土台」そのものです。「ちょっとくらいむし歯があっても…」「歯が1本くらいなくても…」と感じる方もいるかもしれませんが、実はその小さな問題が、将来の全身の健康に大きく影響を及ぼすことが分かっています。
■「お口の健康」は、なぜ「体の基礎」なのか?
お口の主な役割は「食べること」ですが、その働きは想像以上に重要です。
栄養の入り口: しっかり噛めることで、食べ物の消化吸収が助けられ、体に必要な栄養を効率よく取り込むことができます。
全身疾患との関連: 特に「歯周病」は、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、認知症、早産など、様々な全身の病気との関連が指摘されています。歯周病菌が血流に乗って全身を巡り、各地で悪影響を及ぼすためです。
脳への刺激: 「噛む」という行為は、脳の血流を増やし、脳を活性化させることが分かっています。
つまり、歯を失うということは、単に食事がしにくくなるだけでなく、全身の健康を揺るがす大きなリスクにつながるのです。「歯みがきで体を守る」というのは、決して大げさな話ではありません。
■歯を失う本当のリスク要因とは?
では、どうすれば大切な歯を守れるのでしょうか。「歯を失うリスク」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
日々のケアの質は、もちろん重要です。事実、磨き残しが多い人は、そうでない人に比べて歯を失うリスクが約2倍になるというデータがあります。また、生活習慣で言えば「喫煙」も同様で、喫煙者は吸わない人に比べて、歯を失うリスクが約2倍になると言われています。
しかし、もっと大きなリスクがあることをご存知でしょうか。
それは「歯科医院の定期メンテナンスに通わないこと」です。
ある調査では、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けている人と比べて、受けていない人は歯を失うリスクが4~5倍にも跳ね上がるという衝撃的なデータが出ています。「磨き残し」や「喫煙」のリスクよりも、はるかに高いのです。
■セルフケアの限界と「プロのケア」の重要性
「毎日しっかり歯みがきしているから大丈夫」と思っていませんか?もちろん、日々の歯みがき(セルフケア)は基本中の基本であり、非常に重要です。しかし、セルフケアだけでは、どうしても限界があります。
歯ブラシの届きにくい場所には、気づかないうちに歯垢が溜まり、やがて硬い「歯石」になります。歯石は一度ついてしまうと、ご自身の歯みがきでは絶対に除去できません。この歯石を足場にして、さらに細菌が繁殖し、むし歯や歯周病を静かに進行させていくのです。
そこで重要になるのが、歯科医院での「プロフェッショナルケア」です。歯科医師や歯科衛生士は、専門的な器具を使って、セルフケアでは取り除けない歯石や、細菌のかたまりであるバイオフィルムを徹底的に除去します。また、むし歯や歯周病のごく初期のサインを見つけ、本格的な症状が出る前に対応することもできます。「痛い」「しみる」といった自覚症状が出てからでは、治療が大規模になったり、最悪の場合、歯を抜かなければならなくなったりすることもあります。
■未来の健康への投資をはじめましょう
丈夫な体をつくるための「基礎」である、お口の健康。その基礎を守るためには、日々の歯みがきという「セルフケア」と、歯科医院での定期的な「プロフェッショナルケア」の両輪が不可欠です。
「治療が終わったから、もう行かなくていいや」「痛くないから大丈夫」とは思わず、ぜひさこだ歯科でメンテナンスの予約をしてみてはいかがでしょうか。
それは、未来の自分の食事と笑顔、そして全身の健康を守るための、投資になると思います。
鹿児島市中央町 医療法人篤志会 さこだ歯科
歯科医師 渡邉