高齢者のむし歯
2021.07.10
こんにちは。歯科衛生士の砂坂です。
皆さん、むし歯が年齢によってなりやすい部分や進行の速度が違うことを知っていますか?そして、子どもより高齢者の方がむし歯になりやすく進行も早いのです。
ではなぜ、高齢者のむし歯になりやすいのでしょうか?
エナメル質の減少
歯の表面はエナメル質という非常に硬い組織で覆われています。エナメル質は熱いものや冷たいものなど歯が滲みると感じさせるものが刺激に敏感な内部の層に触れないよう保護する働きをしています。そして一度失われたエナメル質を再生することはできません。そのためエナメル質が減少するとむし歯になりやすい状態となります。
高齢者の方は長期間の歯ぎしりや脱灰などが原因でエナメル質が減少しており,むし歯になるリスクが高まるのです。
根面の露出
年齢を重ねると人の身体は免疫力が低下します。
それに伴い、歯周病菌への抵抗力も低下し、歯周病を発症することも多いです。そして、加齢に伴って歯周病を発症すると歯茎が下がり本来みえるはずのない根本部分が見てきます。根本部分は歯の表面と違いエナメル質で覆われていないため酸に弱く、むし歯になりやすいです。
高齢者は根本が露出しておりその部分から一気にむし歯が進行するリスクがかなり高いです。
唾液の減少
高齢者の方は、服用している薬の影響やストレス、咀嚼筋の衰えなどにより唾液が減少します。それに伴い、口や喉が渇きやすくなり、食事や発音などにも影響が出ることもあります。
唾液には多くの作用があります。
1.自浄作用:汚れを洗い流す作用
2.緩衝作用:口の中を中性に保とうとする作用
3.再石灰化作用:むし歯菌により溶けかけた歯を修復して強くする作用
4.抗菌作用:菌やウイルスに対して殺菌、抗ウイルスを行う作用
5.消化作用:糖を分解して細かくする消化酵素(アミラーゼ)の作用
6.湿潤作用:口の中を保湿してくれる作用
このことから唾液が減少すると口の中には汚れが残りやすくなり、むし歯のリスクが高まります。
また、唾液の減少によりドライマスや口腔カンジダ症などの発症も出てきます。
このようなことから高齢者の方はむし歯のリスクが高く進行も早いのです。
定期的な口腔ケアはとても重要になります。