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歯科の麻酔とも医科の麻酔とも違う麻酔の話

2025.10.09

こんにちは、さこだ歯科の衛生士です。

もう10月ですね、早いです。

今月は麻酔の話ということで、私は歯並び治療に携わる事が多いので、割と歯科の診療室の中では麻酔から遠い所にいます。

なので毎年このブログで麻酔の事について書いているとネタも尽きるというのが正直なところです。

華岡青洲の話も、胃カメラを麻酔なしで飲んだ話もしました。

老いにまかせて何回も同じ話をするというのも手ですが、インターネットの海には私のつまらない文章も細々と漂っているので、それが露見した時の恥ずかしさを思えばやめとこうとなります。

もうカラッカラに乾いたスポンジを握力の限り絞って出した麻酔の話です。

先ほどもお伝えしたとおり、私は矯正治療に関わる事が多いのですが、矯正というのは歯の表面に何らかの部品を接着剤で貼り付ける場面が多くあります。

その際、歯の表面がツルッとしてると接着剤の接着が悪く、表面処理としてエッチングという、強い酸性の薬品で少しだけ歯の表面を溶かして洗い流してガサガサにするという工程があります。

強い酸性の薬品なので舌に当たると強烈に酸っぱく、人によっては辛いと言う方もいらっしゃいます。

その薬品を洗い流す時、患者さんは酸っぱいだろうなーと思いながら日々診療を行っていました。

そこで思い出したのがミラクルフルーツです。

昔テレビでたまにやってたのですが、ミラクルフルーツというのは小さな赤い実の果物で、その実を口の中に入れてしばらく噛んだ後にレモンや酢など酸っぱいものを食べるとあら不思議!甘く感じます!レモンなんかオレンジを食べるようにパクパク食べられますね。

みたいな特集を見た事があります。

今はYouTubeにミラクルフルーツで調べたらたくさん動画がありますね。

私はこのミラクルフルーツを患者さんに舐めてもらって、あの酸っぱいエッチングを洗い流したらどうなるだろうと考えました。

ネットでミラクルフルーツを取り寄せ、気心の知れた患者さんに事情を話して快諾してもらい、装置をつける前にミラクルフルーツを食べてもらってからエッチングを行いました。

その患者さんは「!甘い!!!」とびっくりされて、私も「ほんと!?すごい!」となりました。

そこで感情の最大瞬間風速を観測し、あとは粛々と装置の接着を行いました。

あれはなんだったんだろうと今でも思います。

ミラクルフルーツはエッチングも甘くなるという実験結果を得て、私の好奇心はあっという間に満たされました。

自分でもミラクルフルーツを食べてレモンを食べたら甘かったです。

とても不思議な感覚でした。

ミラクルフルーツのミラクリンというタンパク質が舌の甘味受容体と結合し、酸味を甘味受容体で感じさせるため甘く感じるそうです。

感覚受容体と物質が結合して感覚を変えたり鈍麻させたりという意味では麻酔と同じですね。

もうこれはかなり昔の話でこんな好き勝手な事をしてる自分も相当おかしいと思いますし、当時、私のこの申し出を許してくださった先生や患者さんも寛容でありがたかったなと思います。

そして10年以上経って、この経験がスッカラカンのネタが尽きた状態の麻酔の話を救ってくれるのですから、人生に無駄はないという事です。

鹿児島市中央町 医療法人篤志会 さこだ歯科
歯科衛生士 藤井

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