ブラケットを装着しただけでは歯は動きません。
そこでワイヤーを歯列のアーチ状に曲げた「アーチワイヤー」をブラケットに結び力を加えることで歯を動かしていきます。
主に矯正治療で使用されるワイヤーはステンレスワイヤーとニッケルチタンワイヤーの2つがあります。
ステンレスワイヤーの特徴は非常に硬いということです。
また形状記憶ではないため、ワイヤーを曲げ歯牙の移動をコントロールしていきます。
ニッケルチタンワイヤーは柔らかく、形状記憶合金になります。
そのため曲げても元の形に戻ろうとする性質があります。
もう一つ、特徴として「超弾性」を有しています。
ニッケルチタンワイヤーを曲げてブラケットに結ぶと、形状記憶の性質のため元に戻ろうとする力が発生します。通常は大きく曲がっていると大きな力が歯にかかり、少し曲げたところは小さな力が歯に加わります。ところが、ニッケルチタンワイヤーは大きく曲げても弱い持続的な力で元に戻ろうとするのです。これを「超弾性」と呼んでいます。
歯を動かす際はこの弱い持続的な力が適切とされており、矯正治療には無くてはならないといえるでしょう。