◆シェグレン症候群とは
主に、中年女性に好発する涙腺と唾液腺などの「外分泌腺(がいぶんぴせん)」を免疫標的とする臓器特異的「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」です。シェーグレン症候群は以下のように分類することができます。
1.二次性シェーグレン症候群
関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性組織病などの膠原病に合併するもの。
2.原発性シェーグレン症候群
合併のないもので以下の3つに分けることができます。
1)目の乾燥(ドライアイ)、口腔乾燥(ドライマウス)の症状のみがみられるもので、ほとんど通常の生活をしていますが、ひどい乾燥症状に悩まされている人もいます(約45%)。
2)全身性に何らかの臓器病変を伴うもので、諸臓器へのリンパ球浸潤、増殖による病変や自己抗体、高γグロブリン血症などがみられるものです(約50%)。
3)悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症を発症したものです(約5%)。
シェーグレン症候群の経過をみると、約半数の患者さんは10年以上経過しても何の変化もありませんが、残りの半数では10年以上経過して何らかの検査値異常や新しい病変の発生がみられます。
◆シェグレン症候群の症状
1)目の乾燥(ドライアイ):涙が出ない、目がころころする、目がかゆい、目が痛い、目が疲れる、物がよくみえない、まぶしい、目やにがたまる、涙が出ないなど。
2)口の乾燥(ドライマウス):口が渇く、唾液が出ない、摂食時によく水を飲む、口が渇いて日常会話が続けられない、食べ物の味がよくわからない、口内が痛む、外出時水筒を持ち歩く、夜間に飲水のために起きる、虫歯が多くなったなど。
3)鼻腔の乾燥:鼻が渇く、鼻の中にかさぶたが出来る、鼻出血があるなど。
4)その他:唾液腺の腫れと痛み、息切れ、熱が出る、関節痛、毛が抜ける、肌荒れ、夜間の頻尿、紫斑、皮疹、レイノー現象(主に手の指に認められる症状で、寒いところに身体をおいたり、冷水に手指を浸した場合に、手指が突然白くなった後で紫色に変色して、その後に元に戻る現象を指します。その特徴は全ての指が白くなるのではなく、特定の指のしかも特定部位のみ白くなります。)、アレルギー、日光過敏、膣乾燥(性交不快感)など。
口の乾燥(ドライマウス)に対する治療
薬物療法
口の乾燥に対する治療には、唾液の分泌を促す薬が使われます。主に唾液腺の細胞膜に存在するムスカリン受容体に作用する薬剤が処方されます。
【治療中の注意点】
嘔吐や発汗といった副作用が生じる可能性があります。
全身の臓器に対する治療
原発性シェーグレン症候群の腺外型や、リウマチ膠原病を合併した二次性シェーグレン症候群では、涙腺や唾液腺だけでなく、全身の器官に症状が現れることがあります。このような全身病変の治療には、ステロイド剤などの免疫抑制剤やアルカロイド剤という薬剤が使われます。