みなさんこんばんは!
今日は、嚥下(飲み込み)障害の診断のお話です。嚥下障害を診断するためには様々な方法があります。大きく分けて専門機器を使わない検査と専門機器を使う検査があります。
(1)専門機器を使わない検査
1)医療面接(問診)
医療面接(問診)では患者さんやご家族にお聞きして、嚥下障害の原因や重症度、嚥下障害の経過についての情報などを集めます。
2)視診および触診
視診および触診では嚥下に関係する様々な部位の形、動き、感覚を調べます。
3)嚥下障害のスクリーニング検査
嚥下障害を調べるための簡単な検査法がいくつかあります。
スクリーニング検査とは障害を推定する検査法です。
ここではいくつかのスクリーニング検査法を紹介します。
喉頭挙上検査
嚥下に関係する運動の中でも嚥下時の喉頭(のど仏)の上方への動き(挙上)は重要です。唾液を嚥下する時の喉頭の挙上量は1-2 cm程度が正常の目安となります。
改訂水飲みテスト
3mlの冷水を嚥下した時の、飲み込みのスムーズさ、むせ、呼吸の変化などを記録して嚥下障害を判定します。
反復唾液嚥下テスト
30秒間に何回、唾液を飲み込むことができるかを調べます。
高齢者では30秒間に3回以上の飲み込みができることが正常の目安となります。
頚部聴診法
聴診器を首にあて、嚥下音(ごっくんの音)や嚥下前後の呼吸の音を聞いて嚥下障害を推定する方法です。食事中に行うことができる唯一のスクリーニング検査です。
(2)専門機器を使う検査
専門機器を使わない検査で嚥下障害が疑われたら、専門機器を用いて精密診断を行います。
1)嚥下造影検査
嚥下造影検査はエックス線透視室で行う嚥下障害を診断する精密検査です。
患者さんに造影剤(バリウムなど)が入った検査食を嚥下させ、検査食の流れと嚥下に関連する様々な部位の動きをエックス線透視画像として観察する方法です。
嚥下造影検査は、現在行われている嚥下障害の検査法の中では最も信頼性の高い検査法です。
最近は検査時の状況を確実に把握するため、嚥下造影画像に加え、検査時画像および嚥下音、呼吸音を同時に記録するシステムも開発されています。
嚥下造影検査により誤嚥(気管内に造影検査食が流入すること)などの嚥下障害の症状が明らかになるだけでなく、嚥下時の姿勢を変える、食品の物性を変えるなど嚥下障害の対応法を検討することも行います。
2)嚥下内視鏡検査
鼻孔から挿入した軟性内視鏡を用いて嚥下に関連する様々な部位の動きや嚥下された食べ物の流れを観察することができます。
内視鏡を携行すれば訪問診療でも行うことができる検査ですが、挿入された内視鏡による違和感がある、嚥下の瞬間は咽頭粘膜が内視鏡先端に近接するため観察できないなどの欠点があります。
飲み込んだ直後の誤嚥の有無を確認でき、食事形態を決める指標になります。
また、機材の持ち運びができ病院以外でも検査が可能です。