ニュースレター Vol.90 今月の特集
いよいよ秋も深まり、朝晩はだいぶ涼しく感じられるようになりました。
食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋…。皆様はどのような秋をお過ごしでしょうか?
是非、充実した秋をお過ごしください<(_ _)>
さて、今回は『歯科と乳酸菌について』です。
乳酸菌とビフィズス菌
20世紀後半になると腸内フローラの研究は飛躍的に進展し、様々な疾患の発症に深く関わっていることが明らかになりました。
腸内フローラのバランスを良好に保つことが疾患予防にきわめて重要です。
乳酸菌とビフィズス菌はともにヒトや動物の腸内に棲息し大量の乳酸を産生しますが、下図のような違いがあります。
乳酸菌は牛乳・乳製品や漬物等の発酵食品にも生息していますが、ビフィズス菌の生息場所はおもにヒトや動物の腸内です。
また、ビフィズス菌は乳酸のほかに酢酸を産生します。
乳酸菌にもビフィズス菌にも数多くの菌種や菌株が存在し、酸産生能、抗菌性、免疫調節作用等において菌特有の性質をもちます。
お口での活用が期待される乳酸菌
お口の中に常在する菌の数は大腸に次いで多く、お口の中に生存可能な菌種は約700種類と言われています。むし歯の部分から検出される乳酸菌は、古くからむし歯の進行に関わると考えられてきました。しかし、近年の研究によりお口の健康に貢献する乳酸菌も見いだされています。
お口と乳酸菌の関係
お口における乳酸菌の働きとして微生物やプラークへの直接的作用と口腔組織や全身への間接的作用の2つが考えられます。
乳酸菌をお口の健康のために使用する際の注意
●目的に合った乳酸菌を選ぶ…口腔フローラのバランスの異常を正し、正常に戻すことが大事です。
お口の環境は1人1人違っていますので、お口の状態にあった乳酸菌の選択が必要です。
●殺菌剤と併用しない…乳酸菌は生きているため殺菌剤を使用すると、お口の中の細菌とともに殺菌・抑制され、十分な効果が得られなくなります。
●習慣的に摂取する…乳酸菌が作用するのは経口摂取から排便までの間であり、口腔内や腸内に定着し増殖することは基本的にないと考えられています。
乳酸菌の使用目的はもともとお口に存在していた菌のバランスを整え、免疫力を高めることにあります。
そのため、乳酸菌の効果を得るためには習慣的な摂取が必要となります。