【エフエム鹿児島 スマイルライフ】認知症とお口の健康はつながっている?|歯周病との関係と家族にできるケア
2026.10.30
さこだ歯科運営スタッフ
エフエム鹿児島で毎週金曜日に放送されている「スマイルライフ」では、さこだ歯科 理事長の迫田がお口の健康や歯科医療に関する情報をお届けしています。
今回のテーマは「認知症とお口の健康」です。
歯とお口の健康が、脳の働きと深く関わっていることをご存じでしょうか。
近年の研究では、歯周病や歯の喪失と、認知機能の低下との関係が注目されています。
また、認知症が始まってからのお口のケアには、ご家族や周囲の方の理解とサポートが欠かせません。
歯周病と認知症には関係がある?
2026年、国立長寿医療研究センターの研究グループが、歯周病と認知症に関する研究成果を発表しました。
その研究では、歯周病がある方ほど認知症になるリスクが高く、反対に認知機能が低下している方では、歯周病も進みやすくなるという双方向の関係が示されました。
また、これまでの研究でも、歯周病が重い方ほど認知機能が低い傾向や、認知症のある方では残っている歯の数が少ない傾向が報告されています。
(ただし、これらは主に関連性を示すものであり、歯周病が直接認知症を引き起こすと断定できるわけではありません。)
それでも、お口の健康を守ることは、全身の健康を考えるうえで大切な取り組みの一つです。
「噛むこと」は脳の働きにも関わっています
歯を使って噛むという動作は、食べ物を細かくするだけではありません。
噛むことによって脳への血流が増え、記憶に関わる部分が刺激されることが知られています。
一方で、歯を失って十分に噛めなくなると、食事の内容が偏ったり、栄養が不足したりすることがあります。
さらに、歯ぐきの炎症が長く続くことも、全身の健康に影響する可能性があります。
こうした複数の要因が、認知機能の低下と関係しているのではないかと考えられています。
歯を守り、しっかり噛める状態を維持することは、食事を楽しむためだけでなく、健康的な生活を続けるためにも重要です。
認知症になると歯みがきが難しくなることも
認知症が進むと、お口のケアにもさまざまな変化が現れることがあります。
例えば、
- 歯みがきの手順が分からなくなる
- 歯ブラシを口に入れることを嫌がる
- 入れ歯を外したり、洗ったりすることが難しくなる
- 痛みや違和感をうまく言葉で伝えられなくなる
- 食事を拒むようになる
といったことがあります。
ご家族から「急に食べなくなった」と相談を受け、診察してみると、入れ歯が合っていなかったり、歯が割れていたりすることもあります。
食べられない原因が、必ずしも認知症そのものにあるとは限りません。
お口の中の痛みや不具合が原因になっている可能性もあるため、歯科医院で確認することが大切です。
ご家族ができるお口のケアの工夫
認知症の方のお口をケアするときには、無理に進めないことが大切です。
一度にすべての歯をきれいにしようとするのではなく、まずは前歯だけ、次は奥歯というように、少しずつ進めていきましょう。
また、後ろから急に触れると驚かせてしまうことがあります。
正面から声をかけ、これから何をするのかを伝えながら、ゆっくりとお口に触れることが大切です。
歯ブラシを嫌がる場合には、無理に続けず、時間を変えたり、ケアの方法を見直したりすることも必要です。
歯みがきが難しい方には、必要に応じてスポンジブラシなどを活用する方法もあります。
さらに、お口のケアをするときには、体を起こし、顎を少し引いた姿勢を意識することも重要です。
誤嚥を防ぐためにも、その方の飲み込む力や体調に合わせて、安全な方法でケアを行いましょう。
ご家族だけで抱え込まないことが大切です
認知症の方のお口のケアは、ご家族だけで対応することが難しい場合もあります。
さこだ歯科でも、ケアマネジャーや訪問看護師の方々と連携しながら、必要に応じてご自宅や施設でのお口のケアに取り組んでいます。
また、かかりつけの内科医などとも、お薬や体調に関する情報を共有しながら、診療を進めることがあります。
認知症のケアは、一つの職種だけで完結するものではありません。
医療や介護に関わるさまざまな専門職が連携し、ご本人とご家族を支えていくことが大切です。
認知症になる前から、かかりつけ歯科医を
認知症になってから初めて歯科医院へ通うことは、ご本人にとって大きな負担になる場合があります。
知らない場所や慣れない診療に、不安を感じることもあるためです。
そのため、元気なうちからかかりつけの歯科医院を持ち、定期的にお口の状態を確認しておくことをおすすめします。
歯科医師や歯科衛生士が普段のお口の状態を把握していれば、認知機能が低下した場合にも、変化に気づきやすくなります。
また、顔なじみのスタッフがいることは、安心して診療を受けることにもつながります。
まとめ
歯周病や歯の喪失と、認知症や認知機能の低下には関連があることが報告されています。
一方で、認知症が進むと歯みがきや入れ歯の管理が難しくなり、お口の健康状態が悪化しやすくなることもあります。
大切なのは、認知症になる前からお口の健康を守り、認知症になった後も無理のない方法でケアを続けることです。
ご家族だけで対応することが難しい場合には、歯科医院や地域の医療・介護関係者に相談することも大切です。
さこだ歯科でも、ご本人やご家族のお気持ちを大切にしながら、一人ひとりの状態に合わせたお口のケアを支援しています。
いつまでも自分のお口でおいしく食べ、健やかな生活を送るために、今からできることを一緒に考えていきましょう。
エフエム鹿児島「スマイルライフ」では、迫田理事長が歯とお口の健康について毎週お話ししています。今後も放送内容をホームページでご紹介してまいります。
(2026年10月30日放送分)