口が開けにくい!あごが痛い!などと感じたことはありませんか。
もしかしたら顎関節症かもしれません。顎関節症について説明していきます。
顎関節症とは
顎関節症とは、口が開きにくかったり、口を開けるとカクッと音が鳴ったり、あごが痛かったり…といった症状がある顎関節の病気です。
病気というと怖いですが、痛みはないけれど口を開けると音がする、という方はたくさんいらっしゃいます。特に若い女性に多いのが特徴です。痛みがなく、日常生活で困らない場合は治療は必要ありません。実際に治療が必要となるケースは少ないです。
しかし痛みが続いたり、あごがあまり開かず食事がつらいなどの場合は歯科医院を受診してください。また、顎関節症の症状は親知らずの炎症や、顎関節リウマチ、ディスキネジア、筋突起過形成症、顎関節付近にできた腫瘍など、他の多くの疾患でみられる症状と似ています。
それらの疾患ではない場合に初めて顎関節症と診断されるため、病院で検査をうけてみてください。
顎関節症かも?顎関節症の症状
- あごからカクッと音がする
- 口が開けにくい
- あごが痛い(安静時は痛みがない)
- あごの周りの筋肉を押さえると痛い
顎関節症の診断
エックス線写真を数枚(お口と顎関節がうつる写真、口を閉じているときと開いたときの顎関節部をアップにした写真)撮影します。
顎関節症の場合あごの関節部にあるクッション(関節円盤)が原因です。その部分を確認していきます。
顎関節症はあごの中で何がおこっている?
頭蓋骨と下あごの骨(下顎頭)の間には、あごを動かすときに痛みなくスムーズに開閉口するために、クッションの役割をはたす関節円盤があります。
この関節円盤は下顎頭の上にのっており、通常お口を開け閉めするとき下顎頭と一緒に動きます。しかし顎関節症の場合、この関節円盤が変形して前のほうにずれてしまっています。そのため、あごを開けて下顎頭が前に動くとき、関節円盤の上を下顎頭がグっと乗り越えることでカクンと音が鳴ります。
そして、関節円盤の変形が強くなると、下顎頭が関節円盤を乗り越えることができなくなり口が大きく開かなくなります。あごがうまく開け閉めできなくなるとその周辺の筋肉もうまく動かなくなり、痛みがでてしまいます。
顎関節症の原因
顎関節症はさまざまな要因がくみあわさって発症するとされています。
- ストレス
- 咬合不良
- TCH(常に噛んでいる状態)
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 外傷
- 片側での噛み癖
- うつぶせで寝る
- 頬杖
etc…
このようにたくさんの要因が混ざり合って発症します。
顎関節は他の身体のどの部分にも存在しない、骨と骨がぶらぶらとした状態で存在する珍しい関節です。とても繊細なつくりのため、上記のような負担がかかってしまうと悪くなってしまいやすいのです。
また、矯正治療などでかみ合わせが変わったあとに顎関節症になる方もいらっしゃいます。身体は順応性があるためこの場合はしばらくすると症状が治まる方がほとんどです。
治療法
1.顎に負担のかかる習慣・癖をなくす
片側ばかりで噛む癖や頬杖、うつぶせで寝るなどの癖がある方はまずはなるべくそれらを行わないように気をつけてすごしていただきます。
2.スプリント
スプリントという硬いマウスピースを作成します。これをはめていただくことで、歯の接触を減らしあごの負担を減らします。夜間寝ている間にはめてもらう場合が多いですが、日中にも食いしばりをしている方は、日中もはめていただくことが可能です。
3.痛み止めの処方
痛みが強い方は痛み止めも併用します。
4.あごを開ける訓練
あごが開かない方は、痛みが和らいできたころから口をあける訓練を開始します。あごは正常な場合、約40センチあけることができます。40センチはだいたい指3本分です。ご自身でも確かめられるので試してみてください。まずは40センチ以上開けられるように訓練をしていきます。
5.バンピングマニュピュレーション
痛みが強く、またあごの硬直がひどい場合は顎関節に注射をおこないます。当院ではこの処置が必要な方は大学病院の口腔外科をご紹介しています。
治療期間
顎関節症はたくさんの要因が複雑に絡み合っておこります。そのため治療期間は人によってさまざまで、長くかかることもあります。治療終了時の目標は、痛みなく正常範囲の開口ができるようになる(40センチ以上)ことです。変形してしまった関節円盤はもとの形に戻ることはないため、カクンという音が完全になくなることはあまりありません。顎は一生使っていきます。無理せずつきあっていくことが必要です。
どこでみてもらえる?
顎関節症は歯科医院で対応しています。顎関節症の治療をおこなっていないところもありますが、その場合は大学病院に紹介されます。
大学病院では歯科の中でも口腔外科が対応することが多いです。本院ではマウスピースによる顎関節症の治療をおこなっています。気になる方はご相談ください。
あごが突然あきにくくなったり食べづらいととても不便ですよね。
特に痛みがある方は我慢せずに歯科医院を受診してみてください。