歯が欠けて歯科医院を受診する方には
- 1.ぶつけたり、硬いものを噛んだりして歯が欠けてしまった
- 2.朝起きたら歯が欠けていた
- 3.気づいたら欠けていた(欠けていることに気がつかなかった)
という方がいらっしゃいます。
1.ぶつけたり、硬いものを噛んだりして歯が欠けた
この場合は歯が欠けた理由がはっきりとしています。
ぶつかったときの力や噛んだ時の力に歯が耐えられず、割れてしまったということです。強い力が加わった後にお口の中から白い破片が出てきたら、歯が欠けてしまった!と思われると思いますが、実は歯質が欠けたのではなく、被せものの材料がとれてしまった、という場合もあります。
→歯質が欠けた
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→被せものの材料がとれた
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それぞれの場合で治療法が異なります。
歯質が欠けた
歯質が欠けてしまった場合は、かけた範囲によっても治療法が変わってきます。
『歯が欠けてしまったが、神経に達していない』という場合はCRというプラスチックの白い詰め物で欠けた部分を修復します。この処置は受診した当日に行うことができます。
『歯が欠けて神経まで見えてしまっている』という場合は神経の治療を行う必要があります。
麻酔をして汚染されてしまった神経をとりのぞきます。神経のお部屋がきれいになったら土台をつくり、型取りをして被せものをいれます。治療は最短で4回かかります。神経のお部屋は複雑できれいにする処置には時間がかかるため、4回以上かかる場合がほとんどです。また神経は見えておらずCRによって処置したという方でも、強い外力により実は神経が死んでしまっていたという場合もあります。
その場合はだんだんと歯が変色してくるのがサインです。神経が死んでしまった場合は、欠けて神経まで見えてしまった方と同じように、神経をとる処置から再治療が必要です。
歯質が欠けてしまっても痛みを感じる方とそうでない方がいます。痛みがなく、見た目が気にならないという場合でも一度歯科医院を受診してください。欠けてしまったあとの歯はむし歯になりやすかったり、欠けた部分がギザギザとしていて舌を傷つけてしまう場合があります。
お子さんが歯をぶつけて欠けてしまった場合も、大人と同じような処置をしていきます。
被せものの材料が取れた
上の左側の写真は前装冠という保険適用の被せものです。表面の白い材料がとれてしまっています。
前装冠は金属のかぶせものの表面に白いプラスチック製の材料をはりつけた構造になっています。そのため金属とプラスチックの境目から欠けやすいのです。白い材料が取れた場合はその場で材料を盛りつけて修復することが可能です。金属とプラスチックを接着させるためにはいろいろな表面処理が必要なのですが、この処理をお口の中で完璧にするのは難しく、修復したあと時間がたって同じところがまたかけてしまうということがあります。
その場合は被せものを外して作り直すことをおすすめしています。
右の写真はCRという白いプラスチック製の詰め物が取れた状態です。CRは小さなむし歯の治療でよく使用します。衝撃でかけてしまった場合だとむし歯はできていないことがほとんどですので、もう一度CR処置を行います。CRがとれてしまったのを放置してしまい、むし歯ができた場合はむし歯の治療を行います。
2.朝起きたら歯が欠けていた
朝起きて鏡を見たら前歯が欠けていた!という方もいらっしゃいます。原因は寝ている間の歯ぎしりや食いしばりです。歯ぎしりや食いしばりは自分でコントロールできない力のため、歯を欠けてしまうほどの大きな力がかかってしまうこともあります。
歯が欠けた部分の処置は①のときと同じように行います。それに加えて歯ぎしり・食いしばりを和らげるためにマウスピースを作成します。マウスピースは歯同士がギリギリと接触するのを防ぎます。また、ギリギリしてしまったとしても力が逃げるように調整をして使用します。
歯ぎしりや食いしばりの原因はストレスと言われています。ストレスが解消されればよいのですが、0にするというのは難しく簡単ではありません。歯ぎしりや食いしばりは寝ている間にしていることが多いですが、中には日中に行っている人もいます。今、食いしばってないかな…?と少し意識をするだけでも変わってきますので気にかけてみてください。
3.気づいたらかけていた(欠けていることに気がつかなかった)
欠けたのが前歯だとすぐに気が付きますが、知らず知らずのうちに奥歯が欠けていて定期健診のときに見つかるということもあります。
この場合は痛みもなく、歯の山の部分が少し欠けてしまっているといったケースが多いです。欠けた量にもよりますが、多くは欠けた部分を研磨して滑らかにし、かみ合わせのチェックをして調整をするという処置を行います。大きく欠けている場合はCRで修復することもあります。
いかがでしたか。歯は硬い組織ですが意外と欠けてしまうことも多いです。お口は健康の入口ですので、毎日しっかりと確認して気を配ってみてください。