噛んだときに痛みがあるとお食事がつらいですよね。考えられる原因について解説していきます。
噛んだ時に痛む原因は
- 1.むし歯
- 2.根っこの先に膿がたまっている
- 3.歯が割れている
- 4.歯周病
- 5.親知らず
- 6.顎関節症
などが考えられます。
1.むし歯
噛んだ時に痛い原因として中等度のむし歯(C2)や大きなむし歯(C3)が考えられます。
この場合は熱いものを食べたときや甘いものを食べたとき、そして何もしていないときでも痛みがでることがあります。C2の場合は象牙質という部分までむし歯になっています。象牙質は象牙細管という細い管で神経のお部屋とつながっており、噛んで食べ物が入り込むと神経を刺激し痛みがでます。
また、C3は神経までむし歯が到達しているため、触れると痛みがあります。
治療法
麻酔をしてむし歯を削ります。C2の場合は削った後むし歯の大きさに合わせて詰め物をし、C3の場合は神経の治療へとうつっていきます。
麻酔について
治療の際は麻酔が必要です。
当院では痛くない麻酔を心がけています。細い針を使用することで針がささるときの痛みを軽減し、常温の麻酔薬をゆっくりと注入することで歯肉組織にかかる圧を軽減しています。また刺入時の痛みを和らげるために、表面麻酔といって塗るタイプの麻酔や貼るタイプの麻酔も併用しています。
それでも歯科治療は怖い!痛いのが怖くて一歩を踏み出せない!という方もいると思います。当院では普通の麻酔のほかに半分眠った状態でおこなう笑気麻酔や静脈麻酔も行っています。
笑気麻酔
鼻から気体の麻酔を吸い込みます。笑気麻酔をすると酔っぱらったときのようなふわふわとした感覚になり力がぬけた状態で治療をうけることができます。
静脈麻酔
点滴で麻酔を体内に注入します。笑気麻酔より強いためほぼ眠った状態となり治療時のことは覚えていません。治療本数が多い場合や大きな歯科手術のときに行うことが多いです。
どちらの場合も入院などは必要なく、当日お帰りいただけます。治療後にしばらくお休みいただいて問題がないことを確認いたします。服薬中の方や持病をお持ちの方はご相談ください。
2.根っこの先に膿がたまっている
根っこの先に膿がたまっているということは、根っこの先に炎症が起こっているという証拠です。
にきびを押すと痛いですよね。根っこの先に膿がたまっているときも同じで、噛んでぎゅっと力が加わると痛みがでます。
治療法
神経の入っているお部屋をきれいにする根管治療を行います。いわゆる根っこの治療と言われるものです。
根っこの中から膿の袋にアプローチして治していきます。感染源がなくなりきれいになると、膿の袋はなくなります。きれいになったあとは土台をたて、型取りをし、被せものをかぶせて終了です。
3.歯が割れている
歯が割れていたり歯にヒビが入っている場合も噛むと痛みがでます。
特に根っこの治療をした歯は脆くなっているため、噛んだときの力に耐えきれず割れてしまいやすいです。
治療法
割れてしまった歯は残念ながら抜歯になる場合が多いです。しかし、割れてしまった箇所によっては修復して使える場合もありますので、状況をみて治療をすすめます。
4.歯周病
重度の歯周病で歯がグラグラしてしまっている場合、噛んだ時に痛みがでる場合があります。
歯がグラグラしているということは、歯周病により顎の骨が溶けてしまい、根っこの先しか骨に埋まっていない状態になっているということです。
そのため、噛んだ力が支えきれず、歯茎や周りの組織を刺激して痛みがでてしまいます。
治療法
どのくらい歯が残っているかや歯周病の程度にもよりますが、ほとんど骨にくっついていない歯は残念ですが抜歯をおこないます。
まだ骨も一部くっついていて残せる場合は歯周病の治療を行い、お口の中全体の環境を改善していきます。必要に応じて、残っている歯と歯を接着剤やワイヤーで固定し、噛んだときの力に抵抗できるようにしていきます。
5.親知らず
親知らずはとても磨きづらい歯です。
そのため気づかないうちにむし歯になっていることも多いです。また、親知らずが生えようとしているときは歯茎が赤く腫れることも多く、噛んだ時に食べ物があたり痛みを感じることがあります。
治療法
親知らずはかみ合わせにほとんどの場合参加していないため、むし歯ができている場合でもむし歯の治療ではなく抜歯をすることが多いです。
また、親知らずが生えようとしているときの歯茎の腫れは時間がたつとおさまるため、大きな治療は必要ありません。生えるのを待つか、待たずに歯茎を切って抜歯します。
レントゲン写真で親知らずの状態を確認し、お隣の歯を邪魔している場合は早めの抜歯をおすすめします。
親知らずの詳しい抜歯方法については 親知らず をご覧ください。
6.顎関節症
噛んだ時に顎や耳の横、頭が痛い場合は顎関節症の可能性があります。
顎関節症は頭蓋骨と顎の骨の間にあるクッション(顎関節)に異常がある状態です。ひどい場合は口が開かなくなります。
治療法
現在の顎の状態を確認します。
どのくらいお口が開くのか、どのあたりが痛むのかや、顎関節のレントゲン写真などから診察します。顎関節症の治療の多くはマウスピース治療を行います。
マウスピースは噛んだ時の力を逃がし、顎の負担を軽減することができます。顎関節症について詳しく知りたい方は 顎関節症 をご覧ください。
ご来院された場合
ご来院されたらまずお口の中のチェックをします。
噛んだときに痛む部分を歯科チェアの明るい光の下で確認します。お口の中は複雑な環境のため、痛いと思った歯ではない部分が原因だった、ということもあります。レントゲン写真も撮影し、原因となっている部分をしっかりと確認して治療にはいります。
痛みがあるときの治療は緊張することもあると思いますが、歯科医院のスタッフは患者さんの味方です。放置していると治療がどんどんつらくなってしまうので、お早めにご来院ください。