みなさんこんばんは!
今日はエックス線についての話です。
エックス線があることで、虫歯の有無・根の病気・歯周病の進行状況などがわかります。
撮影に使ったエックス線はどこに行くのでしょうか。
世の中を飛び回っていると考える人は少ないと思いますが、少なくとも、撮影直後のエックス線室に入るのが気がかりな方はおられると思います。
理性的に考えれば安全だということは分かるのですが、気がかりは残ります。
ここではそのような不安はないことをお話いたします。
エックス線はその進路において、壁などの物質と相互作用を生じます。平たく言えば、空気の分子を含めて進路上にある物質にぶつかります。
空気は密度が薄いので非常に長い距離を走行してからでないと相互作用を生じませんが、密度が高く重い物質であればあるほど相互作用の頻度が上昇します。
診療に用いるようなエックス線は、コンプトン散乱(コンプトン効果)、トムソン散乱(トムソン効果)、そして光電吸収(光電効果)の三者が相互作用として挙げられます。
コンプトン散乱は、エックス線がそのエネルギーの一部を失い、より低いエネルギーのエックス線となって進路が変わるもの、トムソン散乱は、いわゆる乱反射(最初と同じエネルギーが維持されるが進路が変わるもの)、そして光電吸収はその名の通りエックス線が物質(電子)に取り入れられてエネルギー全てを失うことをさします。
エックス線は、発生すると直後からこの散乱と吸収を繰り返して徐々に減衰していくわけです。
ここでエックス線の進む距離を考えましょう。光は1秒間に30万km進むと言われていますが、エックス線も同じ電磁波の仲間として同じ距離を進みます。
エックス線室の壁から壁へ、あっという間に相当数往復するわけで、その間に散乱と吸収が繰り返されるわけですから、それこそあっという間に消滅します。
光電吸収し終わった状態を消滅と言いますが、例えば10mが最大長の部屋の中で、3回の散乱で消滅すると考えると、1000万分の1秒、すなわちスイッチを切ったとたんにエックス線は消滅しているわけです。ちょうど、部屋の電灯のスイッチを切った場合すぐに光はなくなりますが、それとほとんど同じように消滅しているわけです。
エックス線室に入る場合には、ビクビクしながら入る必要はなくなります。