年齢を重ねると体にはさまざまな変化が現れますが、それは口の中も例外ではありません。高齢者の口腔内で起きている問題を見ていきましょう。
●自浄作用が低下している
口の中には「自浄作用」があります。唾液の力で歯の表面や舌、粘膜に付いた汚れや細菌を洗い流し、清潔に保つというものです。しかし、身体機能が衰えて唾液の分泌量が減っている高齢者の口腔内は、自浄作用が低下している状態になっており、意識してきれいに保つ必要があります。
●虫歯や歯周病が多い
加齢によって歯茎が下がり歯の根元が露わになると、そこから虫歯になりやすくなります。また、高齢者の口腔内は自浄作用が弱まっているため、本来は唾液で洗い流されるはずの細菌が増殖し、歯周病にもかかりやすい状態です。加齢による免疫力の低下も、虫歯や歯周病菌が増える原因の一つです。
●治療跡や入れ歯が多い
長く生きている高齢者は、その分虫歯や歯周病にかかった経験が多く、詰めものなどの治療跡が残っている人も少なくありません。また、歯周病で歯が抜けてしまい、入れ歯を使っている人も多いでしょう。詰め物をしている場合は、その下で虫歯が進行していることがあり、入れ歯を使用している場合は、入れ歯と粘膜の隙間に細菌が繁殖しやすくなります。
●味覚が変化する
人は、舌の表面にある味蕾(みらい)という小さな器官で味を感じます。しかし高齢者の場合、口の中の自浄作用が低下しているため、舌の表面に舌苔が付きやすく、味を感じにくくなったり、味覚が変化したりすることがあります。また、偏った食生活による栄養不足も、味覚障害の原因の一つです。
●口腔内が乾燥する(ドライマウス)
高齢になると、噛む力の低下や服用している薬の影響で唾液の量が減ります。唾液は口腔内を清潔に保つ役割がありますので、ドライマウスは虫歯や歯周病の進行、また、雑菌の繁殖による口臭の原因になります。