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豆知識(旧ブログ)

さこだ歯科のスタッフが綴る、口腔内に関する豆知識です。
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私たちの体が、男性は男性らしくなり、女性は女性らしくなってそれぞれの機能を果たすのは、性ホルモンの働きによります。特に、思春期の第二次性徴期では、その働きが顕著になります。また女性の場合は、妊娠時と更年期にホルモンの量が変化します。この性ホルモンの分泌バランスが崩れると、歯ぐきの状態にも影響してくるのです。
たとえば、思春期の人の口の中に歯肉炎があると、ホルモンの働きとあいまって炎症や腫れがひどくなったります(思春期性歯肉炎)。歯の矯正をしているとプラークがたまりやすくなりますが、こんな場合に発症しやすいようです。

これと同じことは妊娠期にも見られ、妊娠2か月から8か月の間は歯ぐきの腫れがひどくなってきます(妊娠性歯肉炎)。
炎症が強くなるため歯ぐきがぷよぷよとふくらんで、指で触ったり歯ブラシの毛先があたったりすると、すぐに出血します。これは、歯周組織中に女性ホルモンのプロゲステロンやエストラジオールが増えると、歯周病菌の一種のプレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)が増え、歯ぐきの腫れがひどくなることから起こるのです。場合によっては歯がかくれるぐらい腫れが大きくなり、妊娠腫(妊娠性エプーリス)という状態になります。こうなると、ほとんどの人は驚いて歯科医院の門をたたくようです。
このような状態を招く背景には、もともと歯磨きを怠ったために生じた歯肉炎がありますから、治療法としては、まずその原因となったプラークや歯石を取り除けばいいわけです。子供が生まれてホルモンのバランスが元に戻ることにより、症状が和らぐ場合もありますが、安心しないで口の中の徹底的な清掃を続けることが必要です。もちろん、普段からかかりつけの歯科医院で定期健診を受けることも大切です。
女性は更年期になると、女性ホルモンのエストロゲンが減少するため骨粗鬆症が生じやすくなり、歯の周りの歯槽骨の吸収が進みやすくなることもあります。
男性は関係ない?というと、そうではありません。思春期に歯肉の腫れがひどくなる思春期性歯肉炎は男性にも起こります。この思春期性歯肉炎も、口の中の清掃不足で歯肉炎になったところに、第二次性徴期のホルモンのバランスの不調和が加わって生じます。