むし歯や歯周病で歯を失ってしまった場合、ブリッジという方法で噛み合わせを補うことができます
ブリッジとは
ブリッジとは、むし歯や歯周病で歯を失ってしまった場合に、ダミーの歯(歯に見立てた仮歯)を入れることで噛み合わせを補ってあげる方法です。
失った歯の左右に歯が残っていること、その歯が十分な強度に耐えられることが条件になります。
左右の歯を削り、三本あるいは複数本の歯の『橋渡し(=bridge)』を作ります。
本来であれば3本分の自分の歯があるところに、2本の歯と、1本のダミーの歯が入るため、3本で噛んだ場合の噛み合わせを100パーセントとすると、60パーセント近くまで低下してしまいます。
ダミーの歯の本数が増えるほど噛み合う割合は減少し、ブリッジが入っている方ではあまり噛めていないので、お口全体の噛み合わせのバランスが悪くなってしまいます。
ブリッジのメリット
一つ目に、治療日数が比較的短いことが挙げられます。
歯の状態にもよりますが、支えとなる左右の歯を削ってブリッジに合う形にし、型取りを行います。
次の治療時にはブリッジを装着することができます。
左右の歯には、むし歯の治療にも用いられるような被せ物が入ります。左右の歯の神経を抜いて、根っこから丈夫な土台から作ることもあり、その場合は複数回かかります。
それでも他の治療方法と比較すると治療回数は少ない方です。
ブリッジが入る前は、治療しているところだけ食事しにくくなってしまうため、仮の歯を入れて一時的に噛み合わせを作ることもできます。
二つ目は、選ぶ材質によっては治療費が抑えられることが挙げられます。
いくつか種類があるため一つ一つご紹介いたします。
ジルコニアオールセラミックスブリッジ
ブリッジの治療に対応できる強硬度のセラミックです。
2本の歯で、ダミーを含む3本分の歯の噛み合わせを補うことになるため、一本一本には普通の1.5倍以上の力がかかってきます。
必要以上に力がかかってくるので、一本一本は強固で耐久性がある必要があります。
ジルコニアは人工ダイヤモンドと言われ、歯科業界では一番硬くて耐久性にも優れる材質です。
個人の噛み合わせる力にもよりますが、ジルコニアなら、割れてしまったり欠けてしまうリスクを限りなく抑えることができます。
また保険外診療であるため、装着するときの接着剤も劣化のしにくいものになっております。
隙間からむし歯になることや、食事中に外れてしまうというようなリスクを最小限に抑えられます。
ジルコニアの一本あたりの料金は 180,000 円で、ブリッジでは本数分追加になります。
3本の繋がったブリッジの場合は✖️3になります。
セレックブリッジ
セレックもジルコニア同様にセラミックの一種です。
強度はやや劣り、先ほどのジルコニアがお茶碗のような材質だとすると、セレックはガラスのような材質をイメージしてください。
ジルコニアに比べると割れたり欠けたりするリスクは出てきます。ヒビが入ってしまうこともリスクとして挙げられます。
適応はかなり絞られてきます。
しかしながらこちらも保険外診療であるため、接着剤はジルコニア同様劣化のしにくいもので、むし歯を繰り返したり外れてしまう可能性は低くなっています。
セレック一本あたりの料金は 75,000 円で、こちらもブリッジの本数分追加になります。
3本の繋がったブリッジの場合は✖️3 と、治療期間中に入れておく仮歯(一本 5,500 円)が必要になります。
メタルボンド ポーセレンブリッジ
メタルボンドとは、外側がセラミック、内側が金属で裏打ちされているものになります。
外側はセラミックなので、見た目は白く綺麗で審美性に優れており、内側は金属で裏打ちされているので、セラミック単品よりも強度が増します。
耐久性にも優れた材質です。
こちらも保険外診療で、接着剤も質のいいものになります。
メタルボンドの一本あたりの金額は 145,000 円で、他同様3本のブリッジになる場合は✖️3になります。
ハイブリッドセラミックス(グラディア)ブリッジ
ハイブリッドは、セラミックとプラスチックを組み合わせた材質です。
セラミックが入りつつもプラスチックでコストを抑えることができます。
セラミックが入っているので、ある程度の審美性を出すことはできますが、純セラミックに比べると劣ってしまいます。
プラスチックは水分を吸収するので、数年経つと食事や飲料物により色が黄ばんでくることがあります。
また、プラスチックが入ってくることにより、耐久性も純セラミックよりは劣ってしまいます。
使っているうちに欠けてしまう、割れてしまうという可能性が出てきます。
金額は1本 75,000 円で、ブリッジの本数分追加になっていきます。
保険のブリッジ
全て金属、あるいは一部だけ白く塗装されているものになります。
強度に対する耐久性はありますが、金属自体は劣化しやすく、隙間ができやすかったり金属の下で歯にヒビが入ってしまったりということが起きてきます。
保険診療であるため、金額は抑えられます。
ブリッジのデメリット
まず、なくなってしまった歯の前後の歯を削らなくてはなりません。
歯はできるだけご自身のものを長く使っていただきたいのですが、ブリッジ治療ではこの左右の歯が支えとなるため、どうしても削って被せ物をしなくてはなりません。
- むし歯でもなんでもない歯を削ることになります。
- 場合によっては神経を抜く必要が出てくることもあります。
- 神経を抜いた歯は、失活歯と言って死んでしまっているので、こちらを長く持たせるのも難しくなっていきます。
いずれ前後の歯もダメになる可能性があるのが、ブリッジの大きなデメリットになります。
またブリッジは連結した歯になるので、やや歯磨きがしにくくなります。歯間ブラシやフロスが通しにくくなること、ダミーの歯の下に物が挟まりやすくなることが挙げられます。
カタチにあったブリッジを作成しても、使っていくにつれて歯茎が下がってしまったり、歯周病が進んでしまう等でどうしても合いが悪くなってしまいます。
お食事の時に物が挟まる、挟まったまま自分では取りにくい、なんてことが起きてきてしまうのもブリッジのデメリットです。