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CAD/CAM(保険の白い被せ物)診療案内

むし歯になってしまった場合の選択肢の1つである CAD/CAMについて解説します。


むし歯になったら銀歯になってしまう!とは限りません。

むし歯を治療すると銀歯になる?

むし歯になったら銀歯になってしまう!とは限りません。

今は、前歯から第一大臼歯までであれば、条件を満たせば保険でも白さを保ったままでむし歯の治療をすることができます

CAD/CAM 冠は白い被せ物で、診療報酬の見直しによって 2014 年に保険適用外から保険適用となりました。

元は限られた歯のみが適用でしたが、その範囲が増え、今では CAD/CAM で詰め物の作製まで可能になっています。

むし歯になってしまった場合、その歯は大きく分けると三つの選択肢があります。

一つは銀歯、二つ目にセラミック、三つ目に CAD/CAM 冠です。

銀歯

銀歯は、皆さんがむし歯になってしまったときに一番イメージのつきやすいものかと思います。
むし歯を削り取った歯に、形取られた銀を入れたり被せたりします。

銀とは言っても金属であるため、とても水分に弱い材質になります。
錆びるわけではないですが、材質自体が劣化しやすいです。
イメージとしては、シンクの汚れのようなもので、汚れがこびりつきやすいのも特徴です。
臭いの原因にもなります。

接着剤も、ボンドのようなもので貼り付けている状態であるため、外れてしまったり、接着剤が溶けて隙間からむし歯になってしまうリスクがあります。
そのため、5〜6 年で交換することをお勧めしています。

セラミック

セラミックは、保険外診療の白い材質です。
陶器のような材質で、歯に近い色調を出すことができます。

耐久性も十分にあり、欠けたり割れたりするリスクが少ないです。
お茶碗のような材質なので、汚れもつきづらく落としやすいです。

接着剤は、歯とセラミックの隙間を光でピッタリ固めてくれるものになるため、外れたり隙間ができてむし歯になる可能性は低くなっています。
セラミックにすると、再治療のリスクをできるだけ少なくすることができます。

CAD/CAM 冠

そして、本題の CAD/CAM 冠です。
こちらの材質は、プラスチックになります。

プラスチックを使用しているため、セラミックより価格を抑えることができ、銀歯よりも綺麗な口腔内を維持することができます。
保険適用で、金属アレルギーの方には選びやすいものになります。

強度が硬すぎるというわけではないので、噛み合う歯にダメージを与えにくいです。
接着剤もセラミックと同じものになるため、外れたり隙間からむし歯になるリスクを抑えることができます。

むし歯になったけど銀歯は嫌だ、白い歯のままにしたい!という方におすすめです。

しかし、プラスチックのデメリットもあります。
まず、銀歯やセラミックに比べると強度が劣ります

噛み合わせが強い方や、硬いものを噛んだときにプラスチックが割れてしまう可能性があります。
次に、着色しやすい素材であることです。

お弁当箱などをしばらく使っていると、洗っても落とせない着色汚れが出てくると思います。
それと同様に、プラスチック自体に色が入り込んでいくため、数年経つと黄ばんで見えてしまいます。

また、プラスチックであるため、表面に傷がつきやすく、そこにも色が入り込んでしまったり、傷に細菌や汚れが入り込んで不潔な状態になってしまうこともあります。

加えて、セラミックと比べると色調の表現力は劣り、シンプルでマットな白い歯です。
おもちゃの歯をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

個人差はありますが、CAD/CAM 冠の場合も数年で交換を推奨しています。

CAD/CAM 冠の作製

CAD/CAM 冠は従来の銀歯と違う型取りの仕方をします。

銀歯であれば、削ったところを粘土のような材質で型取りし、それを元に作成していきます。粘土でお口いっぱいになるのが苦手な方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし CAD/CAM 冠の場合、光学印象という光を用いて歯の形をスキャンして記録するものになります。お口の中に機械を入れて、色々な角度から削られた歯を分析し、光で形をデータとして記憶します。粘土が苦手な人にとって、だいぶ楽になるのではないでしょうか。

また、CAD/CAM 冠は作製方法も従来の銀歯と異なります。銀歯の場合、型取りした粘土に石膏を流し込んで模型を作成し、その模型から銀歯を作製していきます。しかし CAD/CAM 冠の場合は型取りからデータとして記録されているため、そのデータを元に作製していきます。

それに加えて CAD/CAM 冠の大きな違いは、それを機械が作製することです。銀歯やセラミックは歯科技工士という職人さんが作製していますが CAD/CAM 冠は全て機械がやってくれます

CAD/CAM 冠の作製

ご注意点

選択にあたり一つ注意点があり、CAD/CAM 冠はプラスチックであるため、噛み合わせの耐久性に欠け、弱いです。

人が噛み合わせで一番使うと言われているのは、前から7番目、一番奥の歯です。その歯が欠損している場合は、手前の前から6番目の歯にCADCAM 冠を選択することができません。

歯がない分、噛み合わせが手前の歯に強くかかってくるため、欠けたり割れたりするリスクが大きくなってしまうからです。保険治療で作製した場合、欠けたり割れたりなどの原因で、また同じものをすぐ作製することは難しくなります。

治療する前からリスクが大きい場合の選択は限られてしまいます。

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迫田 敏 理事長
  • 長崎大学 歯学部歯学科
  • 鹿児島大学 歯学部 付属病院研修医
  • 鹿児島大学 医学部臨床検査医学講座(丸山征郎教授)学内留学
  • 同年 さこだ歯科 開設